■パキスタン地震被災者支援ニュースVol.2 2005年12月9日■

パキスタン・アライ県
山間のバナ村に自民党からの毛布を届ける
左はIOM職員 浜田祐子© IOM 2005


10月8日の地震は、パキスタン北部を中心に甚大な被害をもたらしました。IOMはパキスタンにおいて、緊急シェルターの提供、援助物資の輸送、医療の3つを柱とした支援を災害直後より継続しています。

このうち日本からの100万米ドルの支援を受け、援助物資の輸送、被災者の移送、負傷者の緊急移送を実施しています。また、被災した女性や子どもたちが犠牲にならないように、人身取引の危険を訴えるキャンペーンを実施しています。

日本からの物資を配布 自民党からの物資を被災地へ

パキスタン
自民党の支援による毛布を被災者に届ける
©IOM 2005
● 自衛隊、日本のNGOとの協力 ●

IOMは、日本企業と自由民主党が11月1日に全日空のチャーター機でイスラマバードに届けた援助物資を、配布のため被災地まで輸送しました。

毛布、テント、衣類など、合計9.5トン以上の越冬用の物資を、被災者への配布を担当するジャパン・プラットフォーム参加NGO3団体、ジェン(JEN)、日本国際民間協力会(NICCO)、ピース ウィンズ・ジャパン(PWJ)と、自衛隊に向けてトラックで輸送しました。

さらに自衛隊がヘリコプターで山岳地帯に輸送した物資の配布は、IOMとパキスタン軍が協力して行いました。すでに降雪を観測している被災地に暮らす人々が暖をとるための貴重な備えとなりました。

その他、日本紛争予防センター(JCCP)からの依頼を受けて、11月末に日本政府提供の毛布600枚を、12月に入ってからもテント300張を輸送しました。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)に対しても、トラック8台分の物資輸送サービスを提供しました。

自衛隊との連携活動を終了

被災地への物資空輸・被災者の緊急移送

10月21日以来、IOMは陸上自衛隊よりパキスタンに派遣されていた「パキスタン国際緊急航空援助隊」と協力し、ヘリコプターを使用した被災地での援助物資の輸送、被災者の移送といった支援を続けていました。11月24日に最後の物資輸送を終え自衛隊が帰国し、スマトラ沖地震・津波後のインドネシア・アチェでの協力に続く、IOMと自衛隊の連携による2度目の人道支援活動が終了しました。
パキスタン
自衛隊による負傷者の緊急移送
写真提供:陸上自衛隊

主に、道が地滑りにより遮断されて援助の手が届いていなかった北西辺境州の山岳地帯バタグラム県アライ(人口約194,000人)を対象とし、IOMがニーズ調査と配布、自衛隊がイスラマバードから被災地近くのヘリポートまでの空輸を担当しました。

日本政府から寄贈されたテント、毛布、発電機など9トンの物資や、自民党からの援助物資、IOMが用意した物資など、自衛隊は合計54トン以上の物資を被災地に届けました。

また、被災地の保健機関や日本のNGO、災害人道医療支援会(HuMA)などからの照会を受け、現地で治療できない深刻な状態の患者を、IOMの調整のもと、自衛隊のヘリコプターでバタグラムやイスラマバードなどに緊急移送しました。
パキスタン
自衛隊からの写真とシールの
プレゼントににっこり©IOM 2005
パキスタン
援助物資を届けた村へ自衛隊が最後の訪問
左端はIOM浜田祐子 ©IOM 2005

IOM事務局長 被災地を訪問

● 国際社会へさらなる支援を呼びかけ ●

ブランソン・マッキンレーIOM事務局長が、11月18日から22日の日程で、パキスタンを訪れました。

パキスタン政府および軍、自衛隊など、被災者支援・復興に当たる関係者との会談やドナー会議に出席したほか、被災地バタグラムの状況を視察しました。

マッキンレー事務局長は、「支援の初期段階では、パキスタン政府や軍との連携が非常にうまく機能しました。今後の復興支援でもこの連携を生かしたい。そのためには、国際社会からの支援が不可欠です。」と被災地から訴えました。
パキスタン
陸上自衛隊 援助隊隊長から記念の盾を
受け取るマッキンレー事務局長
写真提供:陸上自衛隊

パキスタン・バタグラム
被災者と語るマッキンレー事務局長(後列左)
©IOM 2005<

緊急シェルター − 冬を迎えた被災地 建設・修理セットの配布を急ぐ

パキスタン・ニーラム谷(ムザファラバード近郊)
IOMが提供した道具でシェルターを建てる
©Berett Williams / IOM 2005


IOMは、国際機関やNGOなど60の援助団体による緊急シェルター支援の調整を担当しています。

現在は、被災地の中でも特に標高1,500m以上の山岳地帯に住む70,000人の人々に、シェルター10,000軒分の建設・修理材料と道具の配布を進めています。

山岳地帯ではすでに降雪を記録し、寒さが一段と厳しくなっています。地滑りの発生により道路の遮断も頻発しています。IOMの支援が届く直前に子どもが肺炎で死亡したという報告が、バラコット南方20kmのカガン谷でありました。悪天候によりヘリコプターによる配布を中断せざるを得ないこともありますが、犠牲者を増やさないように200台以上の車両に加えてラバやロバも導入して時間との戦いの中で活動を続けています。

IOMは11月末までに、パキスタン軍やNGOなどとの協力のもと、約1,300セットの建設・修理材料と道具を配布しました。他にニーラム谷とアライ谷への配布用の6,000セットが配布拠点に到着しており、1,000セットが近くシリン谷での配布のために輸送されます。

標高1,500m以下の地域に住む被災者には、冬仕様のシェルター、食料、毛布、暖房器具などがすでに行き渡っています。シェルター支援を行う援助団体は、被災者がすでに生活しているシェルターが越冬に耐えうる仕様であるか、確認の調査を実施中です。

援助物資の輸送と被災者の移送

パキスタン
バタグラム−バナ間の物資輸送 ©IOM 2005
落石や地滑りなどの頻発や積雪により、被災地への車両での物資の輸送は困難を極めています。しかし、IOMはトラックやジープを用いた輸送能力の拡充を続けています。NGOなどに向け10月は303台分の物資輸送を行いましたが、これが11月には1,296台を数えました。

IOMは被災者の移送支援も引き続き行っています。IOMバラコット事務所は、標高の低い場所で避難生活を送ることを希望する山間の村人たちに、ジープによる移送サービスを提供しています。しかし、家畜の世話や所有地を守るために、村に留まることを希望する人も多くいます。

またIOMは12月初めまでに、被災地の医療施設では対応できない深刻な状態の患者454人とその家族を、ムザファラバードやイスラマバードに移送しました。