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■パキスタン地震被災者支援ニュースVol.3 2005年5月11日■
パキスタン地震 被災地の復興に向けて
パキスタン
山間の村に資材を提供して避難所を設置 © IOM 2006
10月8日の大地震から半年以上が過ぎました。被災が大きかったアザト・ジャンム・カシミール州、北西辺境州で、ヒマラヤからの身を切るような風が吹き下ろす厳しい冬から被災者の命を守るためにIOMが実施したシェルター支援はすでに完了しました。しかし、8万人の命を奪い、350万人に避難生活を強いた災害の爪あとは深く、被災地の復興に向けて、IOMの努力は続きます。
IOMはパキスタンにおいて地震直後より、緊急シェルターの提供、援助物資の輸送、医療を柱とした支援を実施してきました。このうち日本から100万米ドルの支援を受け、援助物資の輸送、被災者の移送、負傷者の緊急移送を実施しました。また、被災した女性や子どもたちが犠牲にならないように、人身取引の危険を訴えるキャンペーンを実施しています。
被災者の帰還支援 − 移送サービス・健康診断
IOMは政府機関や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)他との連携のもと、3月より150以上のキャンプから故郷の村や町への被災者の自発的な帰還を支援しています。10月までにまず4万人を支援する予定です。
健康診断を実施して被災者が帰還に耐えうる健康状態にあるかどうかを確認し、故郷までの移送サービスを提供します。障害者、年長者、妊婦、乳幼児などに対しては、移送時に特別なケアが提供されます。
3月20日から1ヶ月間に、IOMは拠点を置く5ヵ所(バタグラム、バグ、バラコット、マンセラ、ムザファラバード)で、3,000世帯22,000人以上が故郷へ帰還するのを支援しました。
4月12日には首都圏開発公社(CDA)からの要請を受けて、イスラマバードH-11被災者キャンプからの帰還支援を開始しました。すでに162世帯872人を故郷の被災地へ送り届けました。
また小規模なキャンプや親戚の家などで避難生活を送っていて援助機関に登録されていない被災者は約12万人いると言われていますが、IOMはすでに2,230世帯の帰還を支援しました。
パキスタン
H-11キャンプから被災者をバスで故郷に送り届ける
©IOM 2006 Saleem Rehmat
日本のNGOとの連携 − キャンプ・ジャパンへの協力
IOMは地震から数ヶ月の緊急フェーズを通じて、防寒着、毛布、テントなどの援助物資を、被災地で活動する日本のNGOに届けました(下記参照)。
日本のNGOへの物資輸送サービス
(2006年4月現在 提供トラック台数)
JEN 86台
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ) 8台
日本紛争予防センター(JCCP) 1台
ピース ウィンズ・ジャパン(PWJ) 1台
日本国際民間協力会(NICCO) 1台
パキスタン
IOMはキャンプ・ジャパンで使用するテントを輸送
ジャパン・プラットフォーム提供
これに加えて、ムザファラバード近郊のタンドリに設置されたジャパン・プラットフォーム調整下の「キャンプ・ジャパン」など、日本のNGOが活動する被災者キャンプに、キルト1,836枚、調理器具・食器1,040セット、ビニールシート114ロール、毛布200枚、医薬品を提供しました。
被災地の瓦礫除去 − リサイクルによる環境保護
IOMはパキスタン実効支配下のカシミールの中心ムザファラバードで4月、瓦礫の除去とリサイクルの事業を開始しました。アメリカ国際開発庁(USAID)の資金で、地方政府が計画する45万立方メートルの瓦礫除去を支援します。
地震から半年以上が過ぎた現在でも、ムザファラバードには大量の瓦礫と被害を受けた建物が多数残っています。地元の人々を雇用し、瓦礫の除去とリサイクル、深刻な被害を受けた建物の解体、リサイクル場への瓦礫の輸送を行います。
パキスタン・ムザファラバード
町の再建に向けて瓦礫を一つ一つ取り除く
© IOM 2006. Photo by Darren Boisvert
地元の熟練・非熟練労働者を雇用して、瓦礫を早急に取り除いて再建を進めるために重機も用います。集められた瓦礫は砂利やコンクリートとして再利用され、路側や川の土手の補強材の一部としても使用可能です。
政府の再建計画の中で特に深刻な被害を受けたとされた11の地域の内、3つの地域で重点的にプロジェクトを実施する予定です。連邦政府、地方政府、ムザファラバード衛生局、パキスタン軍技術部、民間セクターなど、さまざまなパートナーとの密接な連携で事業を進めます。
この事業は、雇用創出や地元の人々による再建を促すだけでなく、環境にもプラスの効果があると考えられます。町の中心を流れるニーラム川やジェヘルム川の岸への、近隣住民による瓦礫投棄を抑制することが期待されています。
人身取引対策 − 復興期に高まる危険
パキスタン
パキスタン政府や日本大使館関係者を招いた
人身取引対策キャンペーン開始セレモニー
©IOM 2006
地震で被害を受けた女性や子どもを主な対象とした、人身取引について注意を喚起するキャンペーンを開始しました。パキスタン政府や日本大使館関係者の参加のもと、3月30日にキャンペーン開始のセレモニーが開催されました。
このキャンペーンは日本政府の資金により実施され、まずイスラマバードのH-11被災者キャンプで活動が始まりました。
ハッサン・ムスタファIOMパキスタン代表は、人身取引に対処する一貫性のある取り組みの必要性を訴えるとともに、特に配偶者や家族を失った女性、両親や片親を失った子どもなど人身取引の被害者になる可能性の高い人々に情報を届けるために、パキスタン政府や他の国際機関、そしてNGOと協力して問題に取り組むと語りました。
東博史 駐パキスタン日本公使はまた、「地震発生から数ヶ月が過ぎると、被災者は災害による経済的な打撃をより実感するようになるだろう。仕事、教育、結婚など人身取引の加害者からの魅力的な誘いに乗りやすくなってしまう。」と述べました。
パキスタン
被災者キャンプに人身取引のプロセスを描いたバナーを掲示
©IOM 2006
パキスタン
キャンプで配布されている
人身取引対策パンフレット
©IOM 2006
IOMは被害を受けやすい人々を特定し実態を把握するために、援助関係者、軍隊、キャンプのスタッフ、医療関係者、地方政府、ジャーナリスト、警察、地域のリーダーと協力して、マンセラとムザファラバードで活動しています。被災者キャンプで、ワークショップを開催したり、人身取引の危険やプロセスを伝えるバナーの設置やパンフレットの配布などを行っています。離れた町にいる子どもについて親から相談を受け、居場所を確認したケースもあります。
このキャンペーンとは別に、アメリカ国務省人口・難民・移住局の支援を受けて、特に支援が必要な地震被災者に対し、生計手段回復と収入向上の活動も行っています。