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■アチェ平和の構築−報告 2006年7月■
元戦闘員と元政治犯に対する社会復帰支援
IOMは、日本政府からの10億円の紛争予防・平和構築無償を始めとした支援により、インドネシア・アチェ州で平和構築活動を実施しています。インドネシア政府の要請により、元独立アチェ運動(GAM)戦闘員約3,000人と恩赦を受けた政治犯約2,000人に対する社会復帰支援を行っています。州社会事務所(Dinas Sosial)との協力のもと、IOM情報・カウンセリング・紹介サービス(ICRS- Information, Counseling and Referral Service)センター10カ所を通じて、カウンセリングや職業訓練の提供、小規模ビジネスへの支援を行うことで、元戦闘員と元政治犯の生計手段の回復を支援しています。同時に元戦闘員と元政治犯の受け入れコミュニティにも支援をしています。
元GAMメンバーの一家がIOMの支援を受けるまで
インドネシア・アチェ
受け入れコミュニティにもIOM職員が
訪問してアリ一家の社会復帰を支援
©IOM 2006
アリ・ウマールはIOMの支援を受けている元GAMメンバーの一人です。一家のこれまでの体験を紹介します。
アリの子どもたちは、それぞれ12歳、14歳、16歳のときに、理想に燃えてGAMに参加するようになりました。アリ自身も子どもたちを守るために、GAMの文民セクションで働くようになりました。紛争が激しかった頃に焼き払われたアチェ南部の家を離れて、家族7人で、アチェ南部とアチェ・テゥンガラの間のジャングルで数ヶ月生活していました。
妻の実家を探しながら食糧を得るために村々をさまよっていましたが、そのUjung Baru村にはすでに政府軍の捜索が及んでいました。村長はそのときのことを振り返ってこう言います。「当時村は微妙な立場に置かれていて、政府軍を支援することも、GAM関係者を支援することもできなかった。」
アリの妻はジャングルでの生活で、助産婦としてGAM関係者の他の家族を助けていました。彼女自身も娘を出産しました。当時は、他の大きい娘たちも家族の身を守るために銃を携行することがありました。紛争下で女性がいかに複雑で困難な役割を果たしていたかがわかります。2004年、一家は逮捕され、拘置されました。
2005年8月の和平合意を受けて、全ての政治犯は恩赦により釈放され、アリとその家族も自由になりました。その日、刑務所に村人が総出でアリを迎えにきて、祝福の儀式が行われました。健康診断と今後の生計手段についてのカウンセリングを行った後、IOMは一家を故郷に送り届けました。
数ヵ月後にもIOMは医療サービスの提供や、小規模ビジネスを起業するための計画作りを引き続き支援しました。アリの妻が再び出産した際には、IOMが州社会事務所との協力で運営している「情報・カウンセリング・紹介サービス」を通じて、IOM医療スタッフが助言を行いました。
アリ一家は今、平和な生活を満喫しています。IOMの支援で小さな店を出すことを計画しています。IOMは一家が生活するUjung Baru村へも支援を行っており、村が決めた集会所の建築のために資金を提供しました。紛争中は、政府や軍の指導のもとで村の集会を行ってきました。これからは村人が自発的に村の将来について話し合い、集会所を子どもたちの教育や女性が生計を助けるための活動に使用します。アリは、集会所建設事業の委員に選ばれました。
インドネシア・アチェ
故郷の村に帰還したアリ一家 ©IOM 2006
アリは村の人たちに対して感謝の気持ちを述べました。
「釈放の日に村人たちが迎えに来てくれたこと、祝ってくれたことは決して忘れません。孤立しているのではなく、このコミュニティの一員であると感じることができました。」
平和のメッセージ発信とジェンダーの視点
IOMは、元戦闘員と元政治犯、及び受け入れコミュニティへの直接の支援だけでなく、5月から6月にかけてアチェ伝統の語り部のパフォーマンスを通じて平和のメッセージを36ヵ所で15,000人に対して伝えたり、社会復帰支援にジェンダーの視点を欠くことがないよう専門家を迎えた援助関係者のフォーラムを6月に開催したりといった活動を行っています。女性の元戦闘員や紛争被害者の多くは、コミュニティの意思決定プロセスに関われないため、支援が平等にされるように特別な配慮が必要です。
インドネシア・アチェ
アチェ伝統の語り部がヘルシンキでの
和平合意について人々に伝える
©IOM 2006
インドネシア・アチェ
語り部のパフォーマンスを楽しむ
©IOM 2006