Home
お問い合わせ
サイトマップ
IOMとは
プレス・ブリーフィング
シンポジウム/イベント
IOMの活動
人道復興支援
平和の構築
人間の安全保障
人身取引対策
自主的帰還
労働移住
移送支援
移民と保健衛生
移住とガバナンス
日本と移民
日本人職員から
採用情報
出版物・資料
IOM60周年特設サイト
■イラク人道復興支援−ニュース 2008年3月■
ニュースレターPDF版→
IOMは、旧体制崩壊直前の2003年1月の事務所開設以来、イラクでの支援活動を続けています。国連やNGOなど他の援助団体とも協力し、現在は特に国内避難民支援、移民省の能力強化支援、国境管理などに関わる政府機関への支援を中心に活動しています。
2007年4月以降、IOMの支援活動に対する日本政府からの2,100万ドルの援助により、IOMと日本政府が推進している、個人の保護と自立のための能力強化に重点を置いた「人間の安全保障パートナーシップ」に基づいた、以下の事業を実施しています。日本政府は2007年のIOMのイラクにおける活動に対する最大のドナーです。
国内避難民と受け入れコミュニティへの支援
人間の安全保障及び安定化支援
南部における国境管理に対する支援
北部における国内避難民への越冬支援
避難生活を送る子どもたち
©IOM 2008
国内避難民支援のための灯油用タンク
©IOM 2008
ピース ウィンズ・ジャパンとの協力
IOMのイラクにおける国内避難民支援活動の一環として、活動のパートナーである日本のNGO、ピース ウィンズ・ジャパン(PWJ)が、テントで避難生活を送る200世帯への越冬用物資の配布を行いました。今回の活動は、日本政府からの国内避難民支援に対する400万ドルの援助などをもとに実現したものです。
イラク国外への移動の自由が制限される中、多くの人々が国内でも比較的治安が安定している北部のクルド地方(ドホーク県・アルビル県・スレイマニア県)に逃れています。しかし、治安悪化を懸念するクルド地方政府は避難民の流入に対してより厳しい措置を始めたことから、「グリーンライン」と呼ばれるイラク中央政府の管轄地域とクルド地方との境界付近に多くの避難民が留まり、テントなどで困難な生活を強いられています。
PWJはニネヴァ県とドホーク県の境のグリーンライン上にある3ヵ所のキャンプで暮らす国内避難民の家族に対して、灯油、灯油用タンク、灯油ストーブ、雨季に備える防水シート、17歳以下の子どもと60歳以上の高齢者を対象に防寒着を配布しました。この地域は冬の間、気温は氷点下となり、12月から3月中旬まで続く雨季には、しばしば雨や雪に見舞われます。こうした天候のもとでは、暖房の確保が生命に関わる問題で、国内避難民たちが無事に冬を越すための支援が早急に必要でした。
厳冬の中国内避難民はキャンプで暮らす
©IOM 2008
2007年5月からモースルを離れて避難生活を送るある家族は、夫婦と10歳から16歳までの4人の子どもたちと一緒に、テント暮らしを余儀なくされています。避難生活により一家の主は職を失いましたが、次のように語ってくれました。
「IOMとPWJの支援がなければ、冬を越すのに必要な防水ビニールシートや燃料も手に入らなかったでしょう。おかげで子どもたちが暖かい場所で眠ることができて感謝しています。」
現在のところ、ここで暮らす避難民が近い将来、以前暮らしていた場所や他の地域へ再定住する見通しはありません。彼らのほとんどは職もなく、非常に困難な生活環境が続いており、グリーンライン上で避難生活を送る人々への支援は今後も不可欠です。
IOMイラク事務所の佐藤美央 Donor Reporting Officerは次のように話しています。
「IOMは、今回の国内避難民支援事業では初の試みとなる、日本のNGOとのパートナーシップが実現したことを喜んでいます。これからも日本を含む様々な国のNGOと共同で、イラク支援を実施していきたいと思っています。」
南部の国境管理に対する支援
イラク政府関係者を対象とした渡航書類審査についての研修 ©IOM 2008
IOMは2007年12月、クウェートにおいて、内務省や在クウェート・イラク大使館などに勤めるイラク政府職員20人余りに対し、渡航書類審査について2日間に亘る研修を行いました。この事業は日本政府の支援により実施されています。
研修は英国の入国管理専門家によって行われ、不正書類のパターンや書類審査の特徴、またパスポート製造の際に採用する偽造防止策などを扱いました。参加者は実際にサンプルの偽造文書を基本的な機材を用いて分析し、結果について議論を行いました。さらに、取り上げた手法に関する簡単な試験も実施されました。
今回の研修は、IOMがイラク南部の国境管理に携わる職員を対象として行う一連の研修の第一弾として実施されたものですが、こういった研修がイラク政府内で継続されるように、今後は、「指導者研修」も行っていきます。
また、職員研修の強化を促進するために、バスラの国境管理局管轄の警察学校内に入国管理研修センターを開設し、2008年1月30日に開所式が行われました。この研修センターは宿泊施設も備えられ、一度に60名までの集中研修を実施することが可能で、IOMは指導者研修を通して教官を養成しつつ、研修カリキュラムや教材の提供など研修センター全体の運営支援を行っています。
IOMはこの事業により、国境管理に直接関わる職員に対する支援を行うだけでなく、イラク政府による入国管理全般や国境での入国・出国審査の合理化を助け、ひいてはイラク国内の治安の改善に貢献することを目指しています。
人間の安全保障及び安定化支援
IOMは日本政府の資金を受け、イラク政府の労働社会問題省と共に、イラク社会の安定化に向けて、失業者や半失業者に対する支援を実施しています。ムサンナー県、バスラ県およびバグダッド県を対象に、コミュニティでカウンセリングを行い、職業訓練、起業支援、農業への復帰支援など現地のニーズに応じた支援を行います。
失業率が5割から7割にも達するイラクで就業を支援し、失業者が非合法な活動に身を投じるのを防ぐことで、イラクで最大の懸念である治安の改善にもつながることも期待されます。
対象コミュニティの住民とのタウンミーティング
© IOM 2008
個人に対する支援だけでなく、地方経済の活性化を目指したコミュニティへの所得創出支援や小規模インフラ事業、地元政府に対する支援、政府と協力した職業案内などのデータベース構築も実施しています。
ムサンナー県及びバスラ県では、現地で精力的に活動しているパートナーNGO5団体と連携しつつ、求められる人材やサービスの需要に関する調査結果に基づいて、農業従事者や小規模起業家、小規模なコミュニティ・インフラ事業などへの支援を実施中です。また、バグダッドにおいては、労働社会問題省のデータベースに登録されている失業者や半失業者に対して、同省の担当者と共にIOMスタッフが就労機会の提供につながる支援を行っています。
IOMはこのプログラムを通じ、全体で11,600人を支援することを目指しています。
IOMによる国内避難民の調査 -暴力行為の減少も、進まぬ帰還-
©IOM 2008
IOMはイラク国内での避難民の動きを定期的にモニターしていますが、2007年末の時点でまとめた最新報告書によれば、暴力行為が減少しているにも関わらず、イラク国内では未だ240万人が避難生活を送っています。また、隣国のシリアやヨルダンなどの国外には約200万人のイラク難民が滞在しています。
調査対象の避難民のうち78%が、2006年2月のサマッラ聖廟爆破事件後に避難生活を始めています。しかし、2007年には避難民の割合は減少しており、出身地への帰還も見られます。アンバール県など一部の地域では避難民数が純減しているものの、全体としての帰還の動きは限られたものです。
31%の避難民は自分の所有地が別の個人や国によって占拠されていると訴えており、今後帰還が進めば資産・所有地についての法的な解決が大きな課題となると見られています。同時に多くの避難民の現在の生活環境は、水衛生・食糧・保健などさまざまな分野で困難を極めており、心理的トラウマの問題も深刻です。
※報告書全文(英文PDF)は以下のIOMイラク 事務所ウェブサイトでダウンロードできます。
Iraq Displacement 2007 Year in Review→