IOMは2004年12月26日に発生したスマトラ沖地震及び津波の被災者支援として、インドネシアとスリランカにおいて、災害の直後から迅速に支援活動を展開しました。

日本国政府などの資金提供を受け、援助物資の輸送・配布、仮設住居の提供、被災者の登録、人身取引(トラフィッキング)対策、医療支援の分野で活動しました。特に被災により心身両面に大きな痛手を負った子どもたちを始めとする社会的弱者を重視し、支援を継続しています。

他のドナー国の追加支援を受けて、2005年3月にスマトラ島西岸沖で発生した大地震や2006年5月にジャワ島で発生した地震にも対応しています。


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インドネシア

IOMは地震と津波により60万人もの人々が被災したインドネシアのスマトラ島北部(主にアチェ州)において、災害以前からの現地での支援実績を生かし、次のような活動を実施しています。

 ≫IOMの被災者支援活動を紹介したビデオ「アチェ再建に向けて」
  ODAインターネットテレビでご覧になれます。

援助物資の輸送・配布

水・食料・衣類・医薬品・衛生用品・テントなどの援助物資を被災地に届けました。また国際機関や各国政府関連機関、NGOなど100以上の団体にも輸送手段を提供しました。2005年1月末から2月にかけてのピーク時には1日平均400台の車両を使用し、ジャカルタ-メダン間、メダン-バンダアチェ間、メダン-ムラボー間、その他のルートで輸送部隊を運行しました。

仮設住居の提供

家をなくした被災者に仮設住居を提供しました。

IOMが採用したモデルは広さ36uで、7人まで生活できます。耐震性で上下水道と電気の設備が整えられており、2年の使用が可能です。特長は、地元の労働力で何度でも組み立て・解体ができることです。被災者が別の土地に移動するときに再利用できます。単純なパーツの形で建設地に運ばれてきますが、学校やコミュニティセンターなど、地域全体で使用する大きな建物として組み立てることもできます。インドネシア建設省と共同で設計したもので、インドネシア産の資材を使用しています。

入居者の選定にあたっては、片親世帯、子どもの多い世帯など、特に困難な状況にある被災者を優先しました。

仮設住居と同じパーツを使用して、住居建設地や被災者キャンプに診療所の建設も行いました。2006年からは恒久住宅の建設も行っています。
インドネシア
日本政府の支援により完成したランバロの診療所

インドネシア
緊急移送されて回復した後、患者を家族のもとに送り届ける

医療支援

震災直後には、各国軍などにより各地から移送されてきた100名以上の負傷者の手当てや、適切な医療機関への照会と移送を行いました。また、UNICEFが中心となって実施したはしか予防接種キャンペーンに参加し、自衛隊他と協力して、スマトラ島西岸の町で6,460人の子どもに予防接種を実施しました。
その後は地域の保健医療の再生を支援するため、恒久的に使用する医療機関の修理や再建を行いました。地域の保健医療体制が充分に機能するまでの間、中期的なニーズにも対応するため、被災者キャンプや仮設住居の建設地などに37カ所の診療所を建設し、基本的な備品や医薬品を提供しました。これらの診療所は仮設住居のパーツを応用しました。

人身取引対策

特に被害に遭う可能性の高い子どもと女性を主な対象に活動しています。子どもたちに対しては、制服や教材、学校までの交通手段の提供を行いました。女性に対しては、生計手段の回復支援を行っており、あひるの飼育方法、塩や魚の干物やパン作り、縫製などの研修と必要な物品の提供をしています。また、女性やコミュニティリーダーに対して、人身取引の仕組みや予防法などを知らせる啓発活動も実施しています。

インドネシア
女性を対象としたあひるの飼育に関する研修

被災者からの聞き取り調査/登録

今後の地域の長期的な復興計画に役立てるため、日本政府の支援により、IOMは政府の関係機関と協力して包括的な被害状況調査を実施し、2005年6月に報告を発表しました。2,496の村で行った調査結果によれば、12月末と3月末の地震と津波により、約117,000棟が破壊され、うち70,000棟が全壊しました。避難生活を送る人々の多くは以前に住んでいた土地にできるだけ近い場所で生活を再建したいと考えていることが明らかになりました。

この他、被災者のニーズ調査や、片親世帯などを優先した仮設住居への入居者の選定と登録を行いました。インドネシア政府が実施している包括的な被災者登録に対する技術支援も行いました。

スリランカ

IOMはスリランカにおいて、東部(トリンコマリー県・バティカロア県・アンパラ県)と南部(マタラ県)を中心に被災者支援を行っています。

援助物資の輸送・配布

IOMが使用する物資だけでなく、国際機関や政府機関、NGOなどにも無料で輸送手段を提供しました。

仮設住居の提供

津波発生直後には各地にテントを設置して、被災者に緊急的な避難場所を提供し、その後は半年から1年の使用に耐える緊急的な仮設住居を建設して提供しました。学校やコミュニティセンターなどの共用施設も同時に建設しました。
数年使用できる仮設住居は、5,500軒以上を提供。地元で調達可能な再利用がしやすい資材を使用しました。メンテナンスや衛生施設の整備などを継続しています。また、住民が恒久住宅へと立ち退いた後の住居の解体と敷地の整備も行っています。

人身取引対策

特に被害に遭う危険性の高い子どもや女性を対象に、ポスターやパンフレット、ワークショップなどを通じた啓発活動を実施しています。また、女性を主な対象に、生計手段の回復支援を実施しています。縫製や織物などに従事する人々を、材料や道具、技術研修の提供を通じて支援しています。
スリランカ
IOMが建設中の仮設住居の完成を心待ちにする入居予定の家族
スリランカ
被災者キャンプに縫製センターを開設し、ミシンなどの道具や研修の機会を提供

医療支援

IOMが支援するキャンプにおいて、被災者の健康をモニターし、必要時には適切な医療機関に照会しました。地元の人材を対象とした保健関連の研修の実施や、子どもの遊び場や幼稚園の設置などを通じた心のケア、眼科診療のプロジェクトも実施しています。


被災者からの聞き取り調査/登録

スリランカ政府が実施する被災者に関する情報収集を支援しました。質問票を使用した各地での被災者の登録を実施し、登録情報のデータベース化に対する技術支援も行いました。


日本との連携

日本国政府は、IOMのスマトラ沖地震・津波被災者支援プログラムに対し、地震発生直後に2,500万ドルを支援しました。
自衛隊のインドネシアにおける支援活動展開時には、IOMは準備の段階から密接な協力関係にありました。スマトラ島西岸の町で、UNICEFが中心となって実施したはしか予防接種キャンペーンに参加した際には、IOMは自衛隊やNGOと協力し、6,460人の子どもに予防接種を実施しました。患者の緊急移送や家族と離ればなれになっていた被災者の移送も、自衛隊と連携して行いました。
インドネシア
日本からの支援物資を被災者に配布

また、民間企業と自治体から提供され、日本政府の手配で民間機と自衛隊機でリレー輸送した援助物資をインドネシアで受け取り、自衛隊と協力して被災地に届けました。日本のNGO、ピースウィンズ・ジャパンやAMDAにも物資の配布を依頼しました。これとは別に、ピースウィンズ・ジャパンがジャパン・プラットフォーム他の支援を受けて実施した事業で使用する物資や、AMDAが日本で調達した医薬品のインドネシア国内での輸送を担当しました。

スリランカでは、日本のNGO、難民を助ける会との協力でゴール県にコミュニティセンターを建設しました。同じく日本のNGO、アジア太平洋資料センターとの協力では、ジャフナ県の女性グループに対し、魚の加工を通じた生計手段の回復支援を実施しました。