スマトラ沖地震及び津波被災者支援ニュースNo.23 2005年9月7日



IOMは、日本国政府などの資金提供を受け、インドネシアとスリランカの被災者に対する支援活動を、スマトラ沖地震・津波の発生後迅速に開始しました。以来、援助物資の輸送・配布、仮設住居の提供、被災者の登録、人身取引(トラフィッキング)対策、医療支援 の分野で活動を継続しています。

被災者の中でも弱い立場にある子どもたちを始めとする、社会的弱者への支援を特に重視しています。
スリランカ マタラ県 IOMの仮設住居建設サイト
©IOM 2005 撮影:大野拓也

地域の人々のつながりを再び − スリランカ 地域センター −

スリランカ バティカロア県
IOMが建設した地域センターで遊ぶダヌジャン(左から2人目)を始めとする子どもたち ©IOM 200

スリランカ バティカロア県
地域センターの縫製クラスで教えるニロシャさん ©IOM 2005

津波はスリランカの多くの村々を丸ごと流し去ってしまいました。しかし、災害から8カ月たった今、被災した人々はコミュニティの復興に向けて動き出しています。

バティカロア県東部のバッタバンでは、津波で家を失った子どもたちが、IOMが建設したコミュニティ・センターで友だちを作っています。

「ここには部屋がたくさんあって、いつもゲームなんかで遊べるよ」

こう話してくれた11歳のダヌジャン君は、バッタバンの仮設住居に引っ越すまでは、数ヶ月テント暮らしをしていました。

IOMは、恒常的な住居が完成するまでの数年間使用することができる仮設住居を、被災者約86,000人のためにスリランカ各地で建設しています。これまでに3,447軒が完成しました。この仮設住居の建設地には、地域センターや、幼稚園なども、同時に設置しています。日本政府や、ECHO(EC人道支援事務所)の支援によるもので、地域住民同士のつながりを強くして、被災者がごく普通の生活を取り戻すのを助けています。

「ここへは放課後に毎日来るんだ。新しい友だちがたくさんできたよ」

ダヌジャン君は、新しく遊び場に設置されたブランコとすべり台に向かって走りながら、話してくれました。

子どもたちに、遊ぶ場所と時間を提供して、感情を表現する機会を与えることは、家族や家を失ったショックから立ち直るために、非常に重要です。

大人たちもまた、バッタバンの地域センターを利用しています。被災者キャンプのリーダーの一人であるニロシャさん(25歳)は、コミュニティ・センターで地域の女性たちに縫製を教えています。この縫製クラスで使用している部屋には、ミシンが2台備え付けられています。

「私は以前お針子として働いていたことがあります。技術を伝えることで、同じ地域に住む人たちの生活を立て直す手助けが、ほんの少しでもできたらうれしいです。16人が縫製クラスに来ていて、もう家族のために小さい作品を作ることができるんです。それが参加者に達成感を与えています」 (ニロシャさん)

地域センターでは、日本政府他の支援で実施している心のケア(人身取引対策の一環)などの活動も開催されています。他にも、美術のプログラム、キャンプ内の安全や保健衛生、薬物やアルコール中毒などについてのワークショップが行われています。

IOMスリランカでの活動

スリランカでは津波により、50万人以上の人々が家を失い、40万人が生計を立てる手段を失いました。

IOMはスリランカ政府からの要請に基づき、災害前から設置されていた地域事務所を通じて、被災した13県で支援活動を行っています。

現在は、仮設住宅の建設、生活必需品の提供、心のケア、医療支援、被災情報の登録などの活動を実施しています。

女性グループにあひるを提供 − インドネシア 人身取引対策 −

インドネシア ビルン県 IOMからあひるを受け取る女性 ©IOM 2005 撮影:浜田祐子
インドネシア ビルン県
あひるの配布場所に集まった村の人々
©IOM 2005 撮影:浜田祐子
IOMは8月20日、ビルン県ランチャン村において、女性38人に対して380羽のあひるを提供しました。人身取引対策として実施している、生計手段の回復支援の一環で、日本の支援により実現しました。

全員、未亡人か経済的に困窮している女性で、IOMが開催した5日間のあひるの飼育とビジネスのトレーニングを修了しました。一人につき、あひる10羽と、かご、えさ、ワクチンなどを受け取り、飼育を始めます。

IOMはこれまでに、ランチャン村の女性145人に対し、あひるの飼育だけでなく、塩作り、魚の干物作り、縫製、ビジネスのトレーニングなどを実施しました。

IOMインドネシアでの活動

スマトラ島北部(主にアチェ州)において活動を継続しています。昨年12月26日の地震と津波の直後は、緊急的な医療の提供や、食料や生活物資の配布などを中心として活動していましたが、その後は、仮設住居の建設や地域保健医療の再生など、被災地全体の復興再建を目指したより長期的な視野に立った支援に移行しています。人身取引対策、被災者の心のケアも併せて実施しています。

他のドナー国の追加支援を受けて、3月28日にスマトラ島西岸沖で発生した大地震にも対応し、ニアス島・シムルエ島でも市場の店舗の再建などの活動を行っています。

市場の再建支援 −その他のインドネシアでの活動−

IOMは2005年3月末の地震にも対応し、被害の大きかったスマトラ島西岸沖のニアス島、シムルエ島において、ECHO(EC人道支援事務所)などの支援で市場の再建を行っています。8月までに、ニアス島で580軒、シムルエ島で157軒の店舗を建設しました。全ての店舗で地域の人々が営業を再開しています。市場へのアクセスを良くするために、IOMは道路の改修などを引き続き実施しています。

タイでも支援活動を続けています − 移民の被災者を支援 −

タイ 災害直後の支援活動のようす ©IOM 2005

IOMは、インドネシアとスリランカだけでなく、タイでも津波の被災者支援を実施しています。

災害直後には、プーケット県やパンガー県において政府の対策センターが使用するテントを寄贈したり、4,000人が避難していたバンムアン・キャンプにおいて保育所の設置、心のケアなどの子どもたちへの支援を行ったりと、救援活動を迅速に開始しました。

また1月に世界銀行や国連と合同で行った調査により、7,000人以上のミャンマーからの移住労働者が津波の被害を受けたことが明らかになりました。パンガー、ラノーン、プーケットの各県には、主に漁業、建築、旅行業に従事するミャンマーからの移民が、災害前に登録があるだけで120,000人暮らしていました。

調査結果を受け、IOMは2003年より同地域で実施している、保健衛生分野での支援を拡大しました。津波の被害が最も大きかったパンガー県ナムケン村の保健所に、移民支援の調整事務所を県保健省と共同で設立、主にミャンマーからの移住労働者を支援する団体や雇用主、県諸機関の間の調整をおこなっています。

2005年には、ラノーン県とサムットサコーン県のミャンマーからの移民への活動に対して、国連に設置された人間の安全保障基金を通じて、日本政府からも152万ドルの支援をいただいています。

4月からは、水や衣類などの援助物資の配布や、地域の保健に関わる人員へのトレーニング、トラウマに苦しむ移民へのケアなどの活動を実施しています。7月からは、多くが移民と考えられる依然身元不明の犠牲者の遺体の確認作業にも協力しています。不正規移民が逮捕されたり退去させられたりしないように個人の秘密を守りながら、行方不明者の親族や友人から情報を収集して調査をしています。残された家族の心のケアにとっても、家族がタイの労働法に基づいた保障を受けるためにも重要な活動です。

移住労働者の登録の分野でも、6月から国際労働機関(ILO)と協力して活動しています。2005年にタイ国内で実施される登録と就労ビザの更新についての周知や、津波によって身元を証明する文書を失うなどした移民への法律相談の提供、登録料の支援といった活動を通じて、災害によって特に弱い立場となった労働移民が自分たちの義務と権利を理解し、健康保険加入などの適切な措置を受けられるように努めています。

− タイ 移住問題報告書 −

IOMは2005年8月、タイにおける移住問題についての報告書を発表しました。タイに住む外国人だけでなく、海外に住むタイ人についても報告しています。タイの移住問題の包括的な報告書としては初めてのものです。

 ≫報告書PDF(英文)のダウンロード