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IOM・難民を助ける会 合同報告会
国際協力における国際機関とNGOの連携のあり方
スマトラ沖大地震・インド洋津波・パキスタン大地震 被災者支援を通じて見えたもの
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日時 2006年4月7日(金)19:00〜21:00 会場 青山学院大学 青山キャンパス 11号館2階 1123教室
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IOMとNGO難民を助ける会は4月7日、青山学院大学において、「国際協力における国際機関とNGOの連携のあり方」と題した合同報告会を開催しました。 当日は80名を超える熱心な参加者があり、「国際機関とNGOの支援の相違を感じることができた。同時に、連携の大切さを知った」「合同報告会ならではの話を聞けた」といった感想が寄せられました。
後半の座談会では、NHK国際放送局チーフ・ディレクター西村大介氏がモデレーターを務め、会場からの質問に、中山暁雄IOM駐日代表と難民を助ける会がそれぞれの立場から回答しました。西村氏の司会ぶりの素晴らしさもあって、「もっと話を聞きたかった。時間が足りなかった」との声が多く聞かれました。
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プログラム
第一部
- スマトラ沖地震・津波、及びパキスタン地震の被災者に対するIOMの支援活動 報告
国際移住機関(IOM)駐日代表 中山 暁雄
- スリランカにおける難民を助ける会の支援活動 報告
心のケアを通じた生活再建事業 −IOMとともに− 難民を助ける会 スリランカ駐在代表 柴崎 大輔
- パキスタンにおける難民を助ける会の支援活動 報告
難民を助ける会 プログラム・コーディネーター パキスタン担当 松本 理恵 第二部
- 座談会 − 質疑応答を交えたパネルディスカッション −
モデレーター:NHK国際放送局 チーフ・ディレクター 西村 大介氏 パネリスト :IOM駐日代表 中山 暁雄 難民を助ける会 チーフ・コーディネーター 紺野 誠二 難民を助ける会 スリランカ駐在代表 柴崎 大輔
- 閉会のあいさつ
難民を助ける会 理事長 柳瀬 房子
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第一部 活動報告 |
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パキスタン 雪の降り積もる地震の被災地 © IOM 2006 |
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スマトラ沖地震・津波、及びパキスタン地震の被災者に対するIOMの支援活動 報告 IOM駐日代表 中山 暁雄
昨年は、その前年末に発生したスマトラ沖地震とそれに伴う津波や10月のパキスタンでの地震など自然災害の一年間であったと言えると思います。
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このNGOと国際機関の連携のあり方に関する報告という位置付けは、国際協力をさまざまな立場から考える上で大変有意義でありますが、「援助する側」視点に立ったものの考え方であるということもできます。NGOと一口に言ってもさまざまなNGOがあり、それぞれの被災国で活動する現地NGOも数多くあります。外国から来て援助する組織という意味では、難民を助ける会とIOMは、相互の補完関係と同時に共通の性格も持っていると考えられます。この認識を持って2つの機関の活動を検証したいと思います。
IOMは国連システムには属していない国際機関で、「移住」問題を専門に扱う唯一の国際機関というユニークな特徴を持っています。「移住」といっても非常に広範な概念で、その中には避難民や難民の問題も含まれ、一方で経済的な移民や人身取引の問題も含まれます。本日はその中でも、自然災害で避難民になった人たち、「自然災害における人の移動」という観点からの支援について考えます。
この10年間程の国際的な支援の世界では、様々な機関の間での「調整 coordination」と「パートナーシップ」の重要性が強調されています。スリランカにしてもパキスタンにしても、国際機関、国際NGO、現地のNGO、二国間の援助、自衛隊など、さまざまな団体が入っており、それをどのように調整するかは大きな課題です。調整を任務にしている人も増えています。また、一つの団体が対応できる分野は限られていることから、いかにパートナーシップを構築するかが重要です。
IOMはスマトラ沖地震と津波に対応して、主にインドネシアとスリランカで、仮設住居の建設、被災者の登録、医療支援、物資の輸送などの活動を行っています。特徴的なのは人身取引対策です。特に自然災害後には、家族や生計手段を失った女性や子どもが、だまされたり強制的な手段によってどこかに連れて行かれて搾取される人身取引の被害に遭いやすくなります。緊急支援と平行して人身取引防止の活動を行ったことがIOMの対応の特徴でした。
インドネシアではこれまでに5,000軒の仮設住宅の建設を進め、最終的には合計10,000軒の建設を目標としています。またスリランカでも現地の事情に合わせてインドネシアとは別のタイプの仮設住居を建設しています。被災者の登録は、援助を行う上での基本となる情報を集めるために重要な活動です。また日本のNGO、自衛隊を始めとしたさまざまな団体と協力して、援助物資の輸送と配布を行いました。人身取引対策としては、被害に遭いやすい女性に対する職業訓練の提供、子どもたちへの教育活動を兼ねた心のケアの活動などを行っています。日本とのパートナーシップという観点から言えば、特に難民を助ける会との協力でスリランカでコミュニティ・センター建設を実施しています。その他、AMDAなどのNGOとも協力して事業を実施しました。
パキスタン地震後の支援は特に気象条件の違いから、インドネシアやスリランカとは違う対応がされました。地震発生後は冬が間近に迫っていたことから、緊急に必要なものを配布して、冬を越せる状況を作ることが重視されました。テントや既存の全壊をまぬがれた建築物を利用してシェルターを用意するためのビニールシートや簡単な資材などの修理キットの配布を行いました。また被害の大きかった山間部から負傷者を病院のあるところに移送するという活動も重要でした。その他特に子どもたちのための心のケアの活動を行いました。
インドネシア、スリランカ、そしてパキスタンでの国際機関としてのIOMの支援活動について紹介致しましたが、NGOとの補完関係がこのあとのテーマとなるかと思います。国際機関は被災地の広範囲で活動しているので、特定の地域に的を絞って地域との交流を重視しながら行うコミュニティ・ベースの活動は、NGOの特性を生かせる活動だと思います。
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スリランカにおける難民を助ける会の支援活動 報告 心のケアを通じた生活再建事業 −IOMとともに− 難民を助ける会スリランカ事務所駐在代表 柴崎 大輔
難民を助ける会は、スリランカ南部のゴールで活動しています。 津波発生直後は3,000セットの生活用品、また学校に通っている子どもを対象に2,200セットの文房具の配布を行いました。生活用品セットの調理器具の中には、主食のカレー作りに欠かせないココナッツを削るための道具などもありました。
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スリランカ 難民を助ける会提供 |
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スリランカ IOMとの協力によるコミュニティセンター建設 難民を助ける会提供 |
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2005年9月からは、住宅建設、心のケア、女性支援を中心に活動しています。30世帯の被災者家族が内陸部へ再定住するための恒久的な住宅の建設とインフラの整備を行っています。
IOMとは、心のケアを通じた生活再建事業を協力して行っています。難民を助ける会が再定住用の住宅を建設している地域の活動の中心となることが期待されるコミュニティ・センターを現在建設中で、2006年5月には完成の予定です。コミュニティ・センターによる活動を通じて社会のつながりを強化し、再定住する人々、そしてその人たちを受け入れるコミュニティそれぞれの不安を取り除きたいと考えています。
このセンターを通じて、すでに実施している文化・宗教・伝統行事などを通じたコミュニティの連帯意識の向上、女性の自立支援、子どもへの教育支援といった活動を、より充実させていきます。
女性の自立を助ける活動は支援の行き届きにくい分野です。難民を助ける会は、女性グループを組織し、小規模融資事業を行っています。難民を助ける会の現地スタッフが1軒1軒を訪問してニーズ調査を行い、住民の悩みを聞いて信頼関係を深めています。女性への職業訓練などを通じて世帯全体の再建を図っています。
また子どもたちへの支援はコミュニティ全体の連帯を促進すると考え、特にスポーツや教育振興活動など子どもの自主性を育てる活動を行っています。再定住する子どもも受け入れコミュニティの子どももお互いうまくやっていけるのか不安を抱えている場合が多く、さまざまな交流活動を通じてその不安を解消しています。
事業を実施する上で留意しているのが、心のケアの必要性です。物資やインフラによるハード面の支援に加えて、災害のトラウマというよりも生活再建や先行きへの不安を和らげるための心のケアが必要です。また支援の直接の対象者だけでなく、受け入れコミュニティも巻き込んだ支援を心がけています。
国際機関は資金力や専門性などの面で優れています。NGOは現場での機動力という面で優れています。先程調整とパートナーシップの重要性が述べられましたが、難民を助ける会は国際NGOとして、現地と国際機関をうまく結びつけるコーディネーターという重要な役割を果たしました。国際機関、国際NGO、現地NGO、現地の人々がそれぞれの役割を分担し、協力して事業を行うことが、事業成功の鍵ではないかと思います。
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パキスタンにおける難民を助ける会の支援活動 報告 難民を助ける会 プログラム・コーディネーター パキスタン担当 松本 理恵
難民を助ける会は、2005年10月8日のパキスタンでの地震の発生2日後に現地へスタッフを派遣しました。支援地ではテントシートの配布や食糧・生活雑貨・肌着・ビニールシートなどを詰めたファミリー・セットを配布しました。仮設住居の建設支援とそれまでの支援の評価とニーズ調査を経て、現在は約2,000人、約290世帯を対象とした水道設備の支援を行っています。現地では難民を助ける会アフガニスタン・カブール事務所と現地NGOと連携して事業を進めています。
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パキスタン 支援物資を受け取りに集まった女性たち 難民を助ける会提供 |
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支援の際に印象に残ったのは支援物資を受け取る女性の姿でした。イスラム教徒が多いパキスタンで普段は姿を見せない女性たちが支援物資を受け取りに来ていたことは、それだけ被災者が困難に直面していたことを意味します。
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今年1月下旬に被災地での支援活動の評価と今後の支援のための調査を行いました。受益者の家庭を回りアンケートと無作為の家庭訪問を実施し、役に立った物資、役に立たなかった物資、もっと欲しいと思った物資、物資配布のタイミングについて調査しました。
難民を助ける会は他の援助団体が配布していないものと調理をせずに食べられる食料を組み合わせて配布しましたが、被災者が役に立ったと回答した物資には香辛料のガラムマサラやすぐに食べられるなつめやしが挙げられました。あまり役に立たなかった物資としては、被災地では身に付ける習慣のない下着が挙げられました。今後の緊急支援で、現地の習慣に配慮したいと考えています。
物資配布のタイミングについても好意的な結果が得られました。この理由として、支援対象地にそれまで支援の入っていなかった地域を選んだことや、地震発生後約2週間で迅速に物資の配布を行ったことが考えられます。
またこの調査を通じて、支援地で水の問題が深刻であることが分かりました。以前引かれていた水道は地震で破壊されて住居まで届かなくなり、忙しい女性に山岳地帯での水汲みという更なる困難な仕事が課せられていたのです。男性にしても、放牧している家畜を水場まで連れて行かなければならなくなりました。これを受けて難民を助ける会は、パキスタンのNGOと協力し、現在4カ村で水道整備を支援しています。
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座談会 − 質疑応答を交えたパネルディスカッション −
モデレーター:NHK国際放送局 チーフ・ディレクター 西村 大介氏 パネリスト :IOM駐日代表 中山 暁雄 難民を助ける会 チーフ・コーディネーター 紺野 誠二 難民を助ける会 スリランカ駐在代表 柴崎 大輔
(以下敬称略) 西村:私はNHKワールド・ラジオ日本のディレクターをしています。ラジオ日本は日本発の国際ラジオ放送で、22の言語で各地域向けにニュースなどを放送しています。スマトラ沖地震やパキスタン地震の際は、日本語と英語の他に現地の言葉でも、現地の状況や支援の情報を提供しましたので、前半の報告を興味深く聞きました。 この座談会では、会場の皆さんからいただいた質問票をもとにして、どんな支援が行われたのか聞いていきたいと思います。 まずパキスタンの緊急支援の際に配布したセットには具体的に何が入っていたのでしょうか。
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座談会−会場からの質問に答えながら 支援現場の様子をお話しました © IOM 2006 |
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紺野:通常はそんなにたくさんの物を入れることはないのです。また食べ物とそれ以外の物資は分けて配布します。しかしパキスタン地震の際は、難民を助ける会の活動地域に支援が全く届いていなかったために、とにかく必要な物を全部配布できるよう努力しました。現地NGOのアドバイスからなつめやし、レーズン、豆などそのまま食べられる食料、石けん、ろうそく、マッチ、ロープなどを入れました。また、パキスタンでのテントの需要が高まって購入が難しかった時期には、隣国のアフガニスタン・カブール事務所を通じてテントの代わりになるビニール・シートを調達しました。
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西村:スリランカではどうですか。
柴崎:スリランカでは米や豆などの配給が政府によって行われていたので、難民を助ける会は、それを調理するための調理器具や、紅茶を飲むためのやかんなどを配布しました。
西村:登録や戸籍は日本人にとってはとても基本的なことのように思えます。でも世界には登録されていない人が多くいると聞きました。それでは人身取引の被害者になっても分からないですよね。そこに悲劇が生まれるのだと思います。そこで被災者の登録、そして人身取引対策として具体的にどんな活動をしたのか教えてください。
中山:人道支援を実施する際の登録は目的が限定されています。災害によって家を失った人々は、援助機関が運営するキャンプか、自発的に空いている土地で避難生活を送ります。どういう人が避難生活をしているのか知ることが登録の目的です。家族構成、出身地、病人がいるか、食糧支援を受けているかなどの聞き取りと記録を行い、その情報をもとに支援活動を行います。一番大きな理由は、誰に援助物資や食糧を配布したか把握するためです。特に食糧支援は国連世界食糧計画(WFP)が担当しますが、通常カードを発行して、カードを持っている人たちに食糧を配布します。それによって、誰にいつどの位食糧を支給したか把握するのです。このカードを発行するためには登録が必要です。また、避難生活の予定期間や家の被害状況などの聞き取りを通じて、少し先の援助計画を立てることができます。災害直後には現地政府のキャパシティが低下しているので、国際機関がこういった活動を行う必要があります。もちろん、離ればなれになってしまった家族が再開するためにも登録は重要です。
人身取引に関しては、援助物資の配布と同時に危険を知らせるためのポスターやリーフレットの配布を行います。キャンプやコミュニティのリーダーに人身取引の加害者の手口を周知することで被害を未然に防ぐ活動を行います。
西村:日本から支援活動に向かう人はどのくらいの期間現地にいるのでしょうか。
紺野:スリランカの場合、津波直後から約1週間滞在していた別のスタッフと入れ替わりで2週間滞在しました。その後別の者が引き継ぎましたが、また3週間滞在しました。その後は赴任した柴崎駐在員に引き継ぎました。パキスタンの場合は、地震発生2日後に現地入りし2週間滞在しました。
西村:スリランカで英語は通じましたか。
柴崎:コロンボでは通じますが、事業実施地のゴール県の村では、現地語のシンハラ語でないとコミュニケーションは困難です。
西村:NGOの活動が活発な国はどこでしょう。
中山:日本も随分活発になっている印象があります。以前に赴任していた旧ユーゴスラビアでは、多くの日本のNGOが活躍していました。世界的に見ると、国境なき医師団(MSF)やCARE Internationalなど、やはり欧米の団体が強いと言えると思います。地域に特化している国際NGOも多くあります。旧ユーゴスラビアであれば東ヨーロッパを拠点にしている東方正教会を基盤とするNGO、中東地域であればイスラムのNGOも活躍しています。
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西村:IOMの医療支援はどのようなものですか。
中山:IOMの医療支援は世界保健機構(WHO)や国際児童基金(UNICEF)などの専門機関の調整のもとで行われます。パキスタンでは、負傷者や病人の山岳地帯から病院への移送が中心となりました。インドネシアでは、仮設住居の建設地に診療所を設けています。
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報告会には80名を超える方にご参加いただきました © IOM 2006 |
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西村:スリランカのおける子どもへのケアを具体的に教えてください。
柴崎:再定住を進めているコミュニティには保育園がなく、コミュニティ・センターへの保育園を設置を進めています。村に住む女性に、現在保育士としてのトレーニングを受けてもらっています。幼児への支援の要望は高く、特に栄養についての知識のニーズが多くあります。また、母親同士で情報を交換できる場所も必要だと考えています。
西村:難民を助ける会の心のケアの活動は、将来の不安を和らげるケアが中心のようですが、スリランカの被災者のトラウマは癒えたのでしょうか。またIOMは、心のケアに関してどんな活動を行っているのでしょうか。
柴崎:海や津波に対するトラウマは依然存在していますが、難民を助ける会の活動地域に限れば調査の結果、その割合が低く、むしろ将来の不安を抱える人が多いということが言えます。
中山:心のケアはNGOとのパートナーシップで実施しています。IOMの仮設住居の建設地にはコミュニティが構築されます。コミュニティ・センターの建設などを通じて、交流の場が生まれ、人々の文化的な営みを回復します。生活の場を再建するために、レクリエーション・イベントの実施や子どもの遊び場の建設といった活動を行っています。IOMは広範囲で事業を実施していますので、きめの細かい生活空間の創造に関しては、NGOの協力を仰いでいます。
西村:パキスタンでは、IOMと難民を助ける会の連携はないのですか。
紺野:難民を助ける会はパキスタンに事務所を置いていないので、現状は難しいかと思っています。現在は現地のNGOと協力して事業を実施していますが、今後機会があれば可能性を模索したいと思っています。
中山:スリランカではお互いのニーズが合致しました。これからも様々な形でのパートナーシップを積極的に構築していきたいと思っています。必ずしも合同でプロジェクトを実施することだけがパートナーシップではありません。この報告会も貴重な経験の交換の機会です。そこから次の活動への教訓や手がかりになればと思います。
西村:現地での支援において、国やNGOの間で活動の割り振りがされているのですか。また、援助機関の間の調整はどのように行われているのでしょう。場所によって援助団体ばかりが集まってしまうということはないのですか。
紺野:被災国のキャパシティによっても異なるので、緊急時における国とNGOの役割の明確な線引きはないと思います。調整に関しては、国連中心の調整会議が定期的に、特に災害直後には頻繁に開かれます。基本的にはその場で、どの団体がどこを担当するという割り当てがされます。しかし現実には、目立つ場所に支援が集まるということは往々にしてあると思います。しかし、難民を助ける会の支援した地域は幹線道路から外れたところで、全く支援が入っていませんでした。そういった支援の届いていない地域に支援するのが、難民を助ける会の活動の意義だと考えています。
西村:支援金はどのように集めて、どのように支出を決めるのでしょうか。
中山:これは先程の質問とも関連してきます。かつて1991年の第一次湾岸戦争時にイラクから隣国に流出したクルド難民に対する支援活動などを通じて、援助機関の間の連携の強化が大きな課題となりました。このような経験を踏まえて、国連を中心に「調整 coordination」の強化が進められてきました。 実際の調整は、国連本部に置かれている人道問題調整事務所(OCHA)と呼ばれるセクションが大きな自然災害や紛争の際中心となって調整を行います。国連機関、IOM、多くの場合は赤十字、主だったNGOが、統一のアピール(Consolidated Appeal)を出します。医療、住居、食糧、水衛生などのセクターごとに必要な資金の全てに関して、統一してアピールを出します。これが10年程前から定着している方法です。アピールを出す段階で、どの団体がどこでどんな活動をするかがかなり厳密に審査されますので、現在では一ヵ所に支援が集中する状況は起きにくくなっています。
柴崎:スリランカでも、OCHAが現地のNGOと協力して調整を行っています。現在も週に一度会議が開かれています。しかし、国際機関の間では調整が行われていても、現場では資金力のある団体が発言力を持っているのが現状です。資金力のある国際NGOが国の政策や支援のやり方に大きな影響を与えているのが現実だと思います。難民を助ける会は、日本の団体としては大変多くの皆さまからご寄付をいただいたのですが、欧米の団体の資金力には及びません。しかし、そういった大きな団体が政府機関から情報を得ている中、難民を助ける会は現場で自らの足で情報を集めて活動を行っていることから、独自のよさが出ていると思います。
西村:以上会場からの質問に答えながら、スリランカとパキスタンの被災地で、どんな活動がどんな連携のもとに行われてきたのかをお話ししてきました。パネリストと参加者の距離が少し縮まったと感じられます。会場の皆さんはもはや遠い国の遠い出来事という感覚をお持ちではないと思います。こういった支援活動に従事する人たちを支えるために、私たちにできることを探したいと思います。
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※時間内にお答えできなかったIOMに対するご質問への回答は、こちらをご覧ください。
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