国際移住機関(IOM)
プレス・ブリーフィング・ノート日本語版 2006年11月10日

◆イラク 国内避難民モニタリング報告 3県分を発表◆

イラク
IOMが配布した支援物資パッケージを受け取った国内避難民の女性 © IOM 2006

IOMはイラク15県を対象とした、支援の優先分野、緊急事態への対応プラン、人口移動の長期的解決に関する調査を実施しているが、このほどバグダッド、バスラ、ジー・カールの3県の報告を発表した。

この報告によれば、国内避難民が最も必要としているのはシェルターで、就職、食糧が続く。3県では、避難民の大半が設備の不充分なシェルターで、混雑した環境で生活している上、家賃の支払いが困難となっている。

人口が多く、治安の悪いバグダッドでは、今年2月にサマラでアスカリヤ・モスクが爆破されて以来、国内避難民が倍増。短期的にシェルターが必要だが、避難民の75%は資産の残る出身地への帰還を希望している。しかし避難民の8割は、自分の資産が破壊されたり、占領されたりしているかはわからない。

南部のバスラ県とジー・カール県では、避難民の増加でシェルターが不足し、家賃や土地代、建材の価格が上昇。避難民の多くは、同じ宗教的背景を持つ受け入れコミュニティと良好な関係を保っている。

3県とも、ほとんどの国内避難民は政府機関やレンガ製造、道路建設などの職に就くための、職業訓練や実地研修を受けたいと希望している。すでに技術を持つ人々は、小規模な事業を始めるための貸し付けを希望している。地方のジー・カール県では、農機具、農地、種子を希望する避難民が多い。

援助機関による支援にも関わらず、食糧へのアクセスは3県とも困難で、多くの避難民が公的な配給を受け取っていない。国内避難民の登録を行い、特に女性や子どもの栄養に関して重点的に支援することが望ましい。その他のニーズとしては、水へのアクセスや、保健、避難民の子どもたちの教育などがある。

「全県の報告書の完成は11月中の予定ですが、全体的な傾向はおそらく同様と思われます。」IOMイラク事務所代表ラフィック・チャネンは言う。

今年2月のサマラでの事件後、中部南部の15県で、国内避難民は25万人に増加したと見られる。この数ヶ月は、週9,000人のペースで避難民が増えている。避難の理由は全土で共通。3県でインタビューに答えた94%以上が、宗教上の理由から誘拐や殺害などの脅迫を受けたという。

IOM担当者は、コミュニティのリーダー、地元のNGO、地域の政府機関、避難民の家族を直接訪問し、食糧、保健、水衛生、資産などの問題やニーズ、避難民の今後の希望について調査を行った。

IOMはこの数ヵ月、困難な状況にある多くの県で、緊急食糧配布や、生活物資の配布、給水などをアメリカ政府の支援で行っている。

しかし治安が落ち着いて国内避難民の増加が止まる兆候はなく、IOMは活動を継続するために、国内避難民支援として2,000万ドルの資金を国際社会に求めている。

※報告書PDF(英文)は、以下のIOMイラク事務所ウェブサイトからダウンロード可能です。"IOM IDP POST February 22 2006 MONITORING REPORTS"のセクションから
 http://www.iom-iraq.net/library.html#IDP


◆東部・南部アフリカ地域初 人身取引被害者の保健医療ニーズに関する報告◆

© IOM 2006

IOM南部アフリカ地域事務所はスウェーデン国際開発庁(Sida)の支援で、

「脆弱さのサイクルを絶つ - 東部、及び南部アフリカの人身取引被害者女性の保健医療ニーズに応えて」
"Breaking the Cycle of Vulnerability - responding to the health needs of trafficked women in East and Southern Africa"

と題した報告書をこのほど発表した。

報告によれば、被害者に対し適切な保健医療サービスなどの支援を提供できるカウンセラーは不足しており、援助団体による被害者の医療や精神面でのニーズへの対応も改善する必要がある。

人身取引のプロセスは、女性を性感染症やHIV、トラウマなどの危険にさらす。適切に対処しなければ、慢性的に不安感をもたらしたり、自分を傷付ける行動や自殺に至らしめることもある。報告書はまた、保健医療関係者の多くは人身取引についてほとんど知識がなく、被害者のニーズに適切に応えられない現状も明らかにした。

被害者の発見や保健医療のニーズへの適切な対応を目指し、保健医療関係者へのトレーニングが必要とされている。保健医療を地域の人身取引対策における重点分野とし、照会や情報共有のネットワークを構築することも必要。

東部・南部が出身地、または目的国である人身取引は、実態が非常に複雑。例えば、南アフリカにはモザンビークやアジアの女性が性的搾取のために連れて来られ、エチオピア人女性は中東に家庭内労働力として取引されている。

IOMは報告書の発表と同時に、"Blow the Whistle"(警鐘を鳴らそう)と題した啓発キャンペーンを開始した。人身取引と疑われるケースを見かけたら、無料のホットライン(0800 555 999)に電話するように人々に呼びかけている。

※報告書全文PDF(英文)は、以下のIOM南部アフリカ地域事務所ウェブサイトからダウンロード可能です。
 http://www.iom.org.za/Reports/BreakingTheCycleOfVulnerabilityMed.pdf

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