国際移住機関(IOM)
プレス・ブリーフィング・ノート日本語版 2008年4月18日

■ イラク帰還民調査− 帰還後も不安を抱える避難民 ■

イラク・バグダッド 帰還先の状況を調べる帰還民
©IOM 2008

イラク・バグダッド 破壊された帰還民の家
©IOM 2008

IOMがこのほどイラク難民・移住省と協力して実施した調査によれば、国内や海外の避難先から故郷へ帰還した人々は、帰還後も避難生活時と同様に人道的危機に苦しんでいるという。この調査報告は帰還民の動向とニーズに特化したものとしては初めて。

全国で確認されている約78,200人の帰還民のうち5,200人が調査の対象となったが、最も高いニーズは食糧・燃料・日用品や保健・医薬品へのアクセスなどであることが明らかになった。

確認されたうちほぼ3分の2はバグダッドへの帰還で、2007年3月に帰還のピークを迎えている。

帰還民の約半数が政府の食糧配給に継続的なアクセスをもたず、配給は多くの場合彼らのニーズを満たすには不十分であると回答している。

バグダッドでの保健医療へのアクセスは国内でも最悪の状況にあり、アクセスがない人々は全国平均でも56%と高いが、バグダットでは約7割にも達する。医療施設や医薬品の不足、資金不足が主たる理由として挙げられる。

大多数の帰還民(84%)は以前に住んでいた住居に帰還しているものの、多くの場合かなりの損傷が見られ、家具などの所有物が紛失していたり盗難にあったりしている。そのため、資産に関する支援も今後必要になってくるとみられる。

他人に占拠された住居をめぐる争議の大多数はバグダッドで起こっているが、帰還民の再定住は現在、様々な機関がそれぞれに対応している状況。もし将来的に大規模な帰還が実現すれば、新たな緊迫状態を避けるために包括的な支援策が必要となるだろう。

これまでに確認された帰還者数は、イラク人避難民全体(国内避難民と難民合計で推定500万人)の1%以下に過ぎないが、バスラやバグダッド、その他の地域で最近起こったテロなどの暴力行為以前の3月に帰還数の増加が確認されており、その数は難民・移住省や地方の政府機関が全てを把握できないほどである。そのため、実際の帰還者数は確認されているよりも多いと推測されている。

IOMイラク事務所代表ラフィック・チャネンは次のように語っている。

「帰還民を取り巻く環境は厳しく、これまでの避難生活の状況から必ずしも改善されていないのです。多くの帰還民は失業中で、ほんの一握りの人たちが食糧配給以外にも何らかの人道的支援を受けています。

帰還民が生活基盤を回復できるような支援はされているのですが、こういった努力を強化することが全ての人道支援機関、そしてイラク政府にとって大きな課題です。IOMは難民・移住省と密接に協力しながら、より多くの帰還者に確実に支援が届くよう、そして我々の帰還民のニーズ調査報告が適切な援助がそれを必要とする人々に届くのに役立つよう、最善を尽くしています。」

※報告書全文(英文PDF)は下記のIOM本部ウェブサイトよりダウンロード可能です。
 IOM Monitoring and Needs Assessments- Assessment of Iraqi Return March 2008→

※なお、IOMがイラクにおいて日本政府の支援で実施している事業については、以下をご覧ください。 イラク人道復興支援ニュース 2008年3月→

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