南スーダン、ソマリア、イエメン、ナイジェリア北東部で何百万の人々が飢饉に直面しています
©IOM 2017
南スーダン、ソマリア、イエメン、ナイジェリア北東部の2,000万人以上が、極度の食糧不安に陥っている。深刻な干ばつ状態、紛争、政情不安、過激な暴力行為、そして不景気が、各国の特定の地域に飢饉をもたらしており、何百万の人々の命が危険に晒され、食糧と水を求めて移動を強いられている。
IOMは、他の国連機関、NGO、政府といったパートナーと連携して、影響を受けている各国において人々の命を救う活動を行っている。
「何らかの手を打たなければ、何百万の人々が飢えてしまいます。」とモハメド・アブディカIOM緊急支援局長は言う。「IOMとそのパートナーは、干ばつや食糧不足、飢饉に直面している人々への支援を続けるのに欠かせない資金を必要としています。」
飢饉は、2017年2月20日、紛争と政情不安を原因として南スーダンの一部において宣言されたが、およそ10万人が危機に晒されているという。適切な時期に人道支援が行われなければ、飢饉は国中に拡大する可能性が高い。IOMは国連食糧計画(WFP)との協力のもと、飢饉が発生しかけているパニジャール郡において、人道支援や配給の予定を知らせるため、危機に晒された人々の生体認証による登録を行っている。深刻な食糧不安に直面している人々の数は、収穫高が最も減る端境期の7月には550万人に達すると予想されている(現在は490万人)。
南スーダンでは、4人に1人が、2013年12月に勃発した紛争により故郷を追われている。189万人が南スーダン内で国内避難民となっており、137万人が近隣諸国に避難している。政情不安と飢餓により人々は保護と支援を求めて移動せざるを得ない。飢饉の影響を受けた地域からの多くの人々が、ベンティウ文民保護区(PoC site)へ避難しており、そこではIOMがさまざまな分野に亘る人道支援を行っている。
ソマリアでは、人道的状況は急速に悪化しており、飢饉発生の可能性も高まっている。干ばつによる食糧と水の不足によって、牧畜を営むコミュニティは、水と牧草地を求めて移動を強いられている。モガディシュとアウダルはそれぞれ、干ばつの影響を受けた地域から8,000人以上を受け入れた。
2017年1月1日から2月26日の間に、13万8000人が国内避難民となった。また、食糧とその他の支援を求めてエチオピアへの国境を越えた人々の数も増加している。IOMは、人道支援コミュニティの支援活動の基礎になるデータ収集の規模を拡大したのに加え、食糧供給、保健、水衛生面の改善(WASH)、シェルター、生活必需品の配布等の分野で、ソマリアでの活動を行っている。
イエメンでは、長引く紛争と急速に悪化する状況によって、何百万もの避難民がより一層の危険に晒されている。急速に悪化する食糧危機は、一部地域では飢饉といえる状況に達した。「緊急食糧保障・栄養評価」(EFSNA)によれば、食糧不安は全体としては急激に高まっており、現在のところ1,710万人が、食糧危機に陥っている。730万人が深刻な食糧不安に瀕していると推計されている。
2016年には、食糧不安の拡大を防ぐため、緊急食糧援助は不可欠なものだった。何百万もの人々を食糧不安や飢饉から救うために、イエメン全体でこの援助を続けて規模を拡大することが必要とされている。2015年3月の紛争開始の当初から、およそ300万人が家を追われてきた。危険な状況が続いているにも関わらず、状況の悪化から、100万人の避難民が故郷への帰還を強いられている。
食糧不安は、ナイジェリア北東部でも拡大している。IOMの情報によれば、ボコ・ハラムによる紛争によって、多くの人々が農業に従事できず、200万人近くの人々が家を追われた。昨年11月に国連人道問題調整事務所(UN OCHA)が発行した「人道ニーズ概況報告」(HNO)によれば、アダマワ、ボルノ、ヨブの各州で、500万人に対し緊急の食糧援助の必要があり、この数字はこの一年間で倍増した。
サヘル地域干ばつ対策政府間常設委員会(CILSS)によるリスクのある地域や集団の分析・特定の枠組み[ITI1] 「カドル・アルモニゼ」によれば、2017年6月までに580万人が緊急食糧援助を必要とし、12万人は飢饉のような状況におかれるという。ボコ・ハラムによって激しい攻撃を受けた「ボルノとヨブのような、最も深刻な影響を受けて最もアクセスの難しい」地域で、およそ55,000人がすでにそのような状況に陥っている、と人道ニーズ概況報告(HNO)で強調されている。またHNOによれば、ボルノだけで今後12カ月のうちに、約30万人の子どもが重度の急性栄養不良に苦しむことになると予想されている。
IOMナイジェリア事務所の生体認証登録のデータは、北東部で食糧不安に直面する家族を支援する、WFPの食糧購入のための現金支給プログラムに役立っている。IOMはボルノで今後数カ月に亘り、影響を受けたコミュニティで、特に国内避難民に対して農業と家畜の支援を行う予定。IOMはナイジェリア北東部の避難民、帰還民、その他影響を受けた人々を支援するために、5,800万ドルの援助を国際社会に求めている。
IOMは被害地域の何百万もの人々に対し、生命を救う支援を行っている。急速に悪化する状況の中、人道支援のニーズを満たし、食糧不安に対処するためには、より一層の援助が必要とされている。